このページは、2020年11月から新しく始まりました。
今般の新型コロナウイルス感染症により、皆さまの生活も大きく変化していると思います。 様々な不安を抱えながらも自粛生活が続く中、がん患者さんの多くが孤立していると感じております。そういう中でも、自分らしい生活ができるように、医療者・専門職の皆さんにご協力をいただき、がん患者さんに役立つ情報を掲載していきたいと思います。
がんについて知ろう【第3弾・最終章】は、
公認心理師の 佐々木暁子さん(石巻赤十字病院医療技術部臨床心理課所属)より
がん患者さんが、がんと向き合う事や新型コロナウイルス感染症拡大の影響により自粛生活が続く中、気持ちが落ち込む時に参考となる、自分で出来る簡単な心の切り換え方について情報を頂きました。
【第3弾】 自分へ“これならいいよ”を見つけてみましょう
佐々木暁子さん(石巻赤十字病院・公認心理師)
呼吸が早くなったり、浅くなったり、ため息が増えたりしていませんか。
人は予期せぬ出来事が起こると、途端に緊張が高まったり、普段何気なくしている正常な呼吸とは異なった呼吸をしてしまったりすることがあります。また、ここ1年はコロナウイルス感染症の流行により、全ての人に予期せぬ出来事を与え、生活様式が大きく変化し、一人ひとりに様々な形で影響を及ぼしています。
コロナ禍となりよく耳にする、‘3密を避けましょう’‘不要不急の外出は控えましょう’‘会食は避けましょう’…、一見柔らかい表現に聞こえますが、全て否定型に捉えることもできます。確かにどれも大事なことです。しかし、どこか全てがダメと言われているようで、これが世の中で言われている‘コロナ疲れ’につながっているとも言えるでしょう。
同じようなことが病気になった時にも言えます。病気になることで、‘できないこと’‘できなくなること’が次々と過ります。これはとても耐え難く、辛いものです。
このような中でも何か自分に‘これならいいよ’と言葉をかけられたらどうでしょう。
少しだけぎすぎすした気持ちが緩むと思いませんか。
自分の中で否定型に捉えていることを挙げてみましょう。「~ならいいよ」「~ならいいか」に変換できないか考えてみてください。
例えば、
「不要不急な外出ができない」→「近所にお散歩ならいいよ」
「おいしいものが食べたい」→「テイクアウトならいいよ」
「大声で叫びたい」→「枕に顔をうずめてならいいよ」
こんな感じに自然と思えるようになると、少し心にゆとりが生まれるかもしれません。
長期化する問題と向き合っている時こそ、自分に「これならいいよ」と言える優しさを持つことができますように…。
↑↑↑ 佐々木暁子さんからの情報でした。佐々木さんありがとうございました。↑↑↑
がんについて知ろう【第2弾】は、
がん体験者でもあり美容師の 大友美由紀さん より「脱毛・発毛時の頭皮・毛髪ケア」について、2回に分けて情報を頂きました。
【第2弾】2回目 髪の回復 大友美由紀さん(がん体験者・美容師)
個人差もありますが、抗がん剤が終わり、約1カ月~2カ月位に発毛してきます。
最初に生えてくる髪がくせ毛や白髪になる時もあります。
伸び始めてくると坊主の様に伸び始めます。
後頭部や襟足は比較的に早く回復しても、頭頂部・前髪の戻りが遅れる事もあります。
特に、頭頂部や前髪の伸び悩みする人も多いですが、同じ長さで伸びてくるので
ネックライン・サイドラインがとても早く伸びる様な感じですが、
月に約1cm伸びたとして、前髪(個人差もありますが)15cm~20cm位はそれ以上あるかもしれませんが、
1カ月cmとして、15cm伸びるのには1年3カ月位時間が必要です。
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⁑ 私の場合はトップも同じ様に伸び始めたので、耳半分位に伸び始めてからネック ⁑
⁑ ライン・サイドを切りながらボブの長さに約2年位、治療(抗がん剤)脱毛して今年 ⁑
⁑ で4年になりますが、3年位で元のヘアースタイルに戻りました。 ⁑
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ベリーショートを楽しんでみたり、元の長さまでウィッグや帽子を工夫して使用してみるのも良いかと思います。
くせ毛が気になる場合は縮毛修正してみたり、白髪が気になる時は白髪染めをしたり、頭頂部の薄さが気になる時は少し明るめのヘアーカラーで染めると頭皮が気にならなくなります。
ヘアーカラーやパーマの時は必ず美容室などに相談して下さいね。
〇過去にカラー剤、パーマでかぶれた事がある。
〇頭皮に湿疹がある。
〇パッチテストはかぶれ対策のため必ずして下さい。
↑↑↑ 大友美由紀さんからの情報でした。大友さんありがとうございました。↑↑↑
【第2弾】1回目 脱毛・発毛時の頭皮・毛髪ケア 大友美由紀さん(がん体験者・美容師)
みなさま、お元気にお過ごししていますか。
2020年は本当に世界中が翻弄され激動の1年でしたね。
パセリヘアー相談室の大友です。
脱毛・発毛時の、頭皮・毛髪ケアーなどについてお話をさせて頂きます。
脱毛・・・治療が始まり、人それぞれですが約10日~20日より髪の症状が始まります。
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⁑私も抗がん剤治療を体験し脱毛しました。 ⁑
⁑初めは、もしかしたら私脱毛しないかも?などと思う程。 ⁑
⁑3週間目頃から、洗っても、ドライヤーで乾かしても(ゴッソリ)脱毛が始まり、初お坊さん。 ⁑
⁑治療が終われば少し時間はかかりますが髪は生えてきます。 ⁑
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治療が終わり、約1カ月~2カ月で自分の髪が生え始めます。
※薬の種類と個人差もあります。
生え始めると、クセ毛になったり直髪になったり。
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⁑私の場合は★モンチッチ★の髪のような感じと言われたり、確かにモンチッチ。 ⁑ ⁑⁑⁑⁑⁑⁑⁑⁑⁑⁑⁑⁑⁑⁑⁑⁑⁑⁑⁑⁑⁑⁑⁑⁑⁑⁑⁑⁑⁑⁑⁑⁑⁑⁑⁑⁑⁑⁑⁑⁑⁑⁑⁑⁑
1カ月に伸びる髪は約1㎝。サイド・バックはすぐ長くなりますが、トップの髪、前髪は少し伸び悩みしたりします。
約8カ月~ぼうず頭位。約1年位でベリーショート・ショートカット位。
長さにもよりますが治療前のヘアースタイルになるまでは約2年位です。
抗がん剤は、がん細胞を攻撃するために作られた薬です。
がん細胞のみを特異的に攻撃するだけではなく、正常な細胞にも影響を与えます。
特に細胞の活動が活発なところに影響が及びやすく、毛の根元(毛根)(毛母細胞)(毛をつくるもとになる細胞)が盛んに分裂し髪の毛を作っています。
抗がん剤を使用する事で分裂が阻害される事で脱毛してしまいます。
脱毛期間中も頭皮の清潔に保つ事が大切です。
優しく洗い、髪がないからとタオルドライだけでなく、頭皮をドライヤーなど使い、頭皮をよく乾かしてくださいね。
・毛周期(ヘアーサイクル)
頭皮は1~2週間の退行期と数ヶ月の休止期、2~6年の成長期を経た後に、再び退行期に移行します。
① ② ③
<成長期(2~6年)> ⇒ <退行期(1~2週間)> ⇒ <休止期(休息3カ月)> ⇒ 次の成長
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⁑退行期に入ると毛髪の産生が⁑ ⁑一方、休止期は毛包が最も⁑
⁑止まり毛包が表皮に向かって⁑ ⁑表皮近くまで退縮しきった⁑
⁑退縮していきます。 ⁑ ⁑時期で、軽い刺激でも毛髪⁑
⁑ ⁑ ⁑が抜けやすい状態です。 ⁑
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治療前、髪の症状が出る前に、ロングの方、毛量の多い方はたくさん脱毛した様に見えるので、ロングの方はセミロングなどにすこしずつ短くしていくのも良いかと思います。
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⁑ 体験談として、私の場合は脱毛してまだらに抜けるのが嫌で、3ミリの坊主にしたところ、⁑
⁑ 抜けた毛が帽子や服に付着しチクチクして大変でした。 ⁑
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行きつけの美容室で相談してみてくださいね。
今は、とてもいいウィッグがあります。医療用ウィッグや既製品、おしゃれウィッグなどいろいろなウィッグを試してみてみるのもいいと思います。
脱毛する前と同じヘアースタイルなどが違和感が少ない様な気がします。長時間・長期間使用するので着け心地などウィッグ専門店などに相談してみてください。
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⁑ ♣そして、あるといい物!! ⁑
⁑ “使い捨てヘアーキャップ”です。 ⁑
⁑ 体験者として常にコロコロを持ち歩き大変でしたが、帽子などの下に、 ⁑
⁑ 寝るときにかぶったり大活躍でした。 ⁑
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↑↑↑ 大友美由紀さんからの情報でした。次回もお楽しみにお待ち下さい。 ↑↑↑
【第1弾】3回目
★「自然な心身の変化2」に引き続き、菅原よしえさんより情報提供を頂きました。最終回です。
自然な心身の変化3
がん等の思いがけない出来事があったとき、心と体に生じる反応について、3回に分けて紹介いたします。
思いがけない、予定外のことが生じると、いつもの生活リズムが乱れ、何気なくしていたことが忘れたり、失敗したりします。がんは、まさに思いがけない、予定外の出来事です。そして、これまでの生活に加えて、気の重い診察や治療、仕事の調整が入ります。すると、無意識のうちに、気がせいて、集中力がなくなります。鍵や財布を失くした、車を擦った、指を挟んだ・・・など、いつもの自分ならしないことが生じます。がんと取り組んでいるときは、余裕をもって、いつものことも確認しながら行動するとよいでしょう。周囲の人からの気遣いにも気が付くかもしれません。周囲の人と話し、この機会なので甘えましょう。
【第1弾】2回目
★「自然な心身の変化1」に引き続き、菅原よしえさんより情報提供を頂きました。
自然な心身の変化2
がん等の思いがけない出来事があったとき、心と体に生じる反応について、3回に分けて紹介いたします。
がんを知り、治療に向かって頑張ろう!と奔走するときに、一般にスタミナがつくと言われる肉やゴボウ等が食べたくなくなることがあります。どんな時でも、頑張ろうと意気込んでいるときは、唾液の分泌が少なく、胃腸の活動をおさえて、脳や筋肉の働きを優先するよう体が反応します。つまり、お腹がすいたと感じず、口は渇きがちになります。それでは、硬いものやパンなどの乾いたものは、喉を通りにくくなります。病気や治療をあれこれ考える必要があるときは、胃腸の負担が少ないうどんや、汁物などの喉を通りやすいものがおすすめです。頑張りすぎて、食べることも忘れて、脱水にならないよう気をつけましょう。
【第1弾】1回目
菅原よしえ(がん看護を専門として実践・教育・研究に携わる看護師)
(宮城大学看護学群 教員)
自然な心身の変化1
がん等の思いがけない出来事があった時、心と体に生じる反応について、3回に分けて紹介致します。
がんと知ったとき、再発かも知れないと感じたとき、「嘘だ」「私の勘違いだ」「医師の見立ての間違いだ」と考えた方は多いかと思います。自分で簡単に対処できない状況のときに、状況を否定する心の反応は自然なことです。自分の心を守るために備わっている力です。大変なことを少し否定しながら、自分の心の衝撃を和らげつつ、情報を探り、対処方法を求めていきます。自己防衛で、現実を否定したり、避けようとしたりしている自分や家族に気づいたら、自然な反応として数日見守ってください。大変なことに取り組む協力者(家族、友人、医療機関等)が見えて、立ち向かえるようになると、否定や逃避の反応は少なくなります。